短所の克服ではなく、長所を伸ばすメンタル術

メンタルトレーニング

短所よりも長所を伸ばす

多くのアスリートは、自分の短所を克服しようと必死になってトレーニングします。しかし、短所を克服しても良くて平均的レベルにしかなりませんし時間もかかります。そして何よりも嫌なことに取り組むわけですから、メンタル的にも良くありません。

短所の克服よりも時間的も効果的もメンタル的にも良いのは、今持っている長所を更に伸ばすことに集中することです。長所とは自分の「強み」のことです。自分の強みを知るには、自分の「弱み」を知ることにもつながります。自分の弱みがすぐに克服できないなら、強みに更に磨きをかけて長所を伸ばしたほうが得策です。自分の強みを伸ばす際に、対戦相手を上手く活用できる「機会」と対戦相手の「脅威」をどのように取り除くかという点も重要になります。

SWOT分析

自分の強みと弱み、相手の機会と脅威を整理したマトリックスが、企業分析でも使われている「SWOT」と呼ばれる手法です。このSWOT分析はスポーツにおけるメンタル術としても大いに活用可能です。

    S:Strengths 得意なこと、スキル、経験、知識
    W:Weaknesses 不得意なこと、未熟、経験が浅い、自信がない
    O:Opportunities 差異、チャンス
    T:Threats スキル差、体格差、スピード差、得点力差

Strengths

まずは自分の強みを理解します。あなたの強みは何ですか?

  • 走るのが誰よりも早い
  • 体力が人一倍ある
  • 当たり強い
  • 精神力がある
  • スポーツIQが高い
  • 視野が広い
  • どんな時でも冷静でいられる
  • パスが正確に出せる
  • 相手の動きを止めることができる

自分が持っていてあまり意識していない自分の強みを探してみてください。必ず一つは自分の強みがあるはずです。 

Weaknesses

自分の強みを理解した後に、自分の弱みもリストアップしてみましょう。弱みを克服できる即効性があるのか、弱みを克服することでライバルを圧倒する力に繋がるのか、を見極めると、何を優先的にすべきかが明確になります。きっと自分の長所を更に伸ばすほうが、結果が出やすいはずです。

例えば、足が遅いアスリートがどんなに頑張って足を速くするためにトレーニングを積んでも、足が早い人を上回るようになるのには至難の業です。そうであれば、自分の弱みが隠れるぐらいに自分の強みを徹底的に伸ばしていくほうが、成果が目に見えて上がりますし、相手を圧倒することができます。

Opportunities

自分の強みと弱みがわかった後は、相手選手の強みや弱みを分析してみてください。相手をよく見てみれば、どこに新たなチャンスがあるか、どこに攻め入る隙があるかがわかってきます。ましてや相手の弱みが自分の得意なことであれば相手を圧倒することができます。

Threats

最後に、自分よりも優れているところや相手しか持っていないものを理解しましょう。その部分が自分の苦手なところであれば、どんなにそれを克服して競争相手よりも上回ろうとしても難しいことがよくわかります。

そうすると相手の脅威をなんとか防ぐことよりも、相手との差異を自覚して自分の強みを伸ばしていくことの大切さに気づけます。

突出したスキルを一つだけ持つ

どんなアスリートでも必ず一つ得意なことがあります。その長所を活かさずに短所の克服ばかりに時間と労力を費やしても、よくて人並みレベルになれるだけです。

短所を得意にすることは極めて難しいことを理解しましょう。そして、自分が持っている得意なところを更に伸ばすように意識して練習してみてください。

例えば、

  1. 足の速い人は、足の速さを活かしたでフェンスをかわすステップ
  2. キックが得意な人は、コンバージョンキックを90%以上決めるキック
  3. 体が大きい人は、必ず相手の攻撃を止めるディフェンス力
  4. 体力がある人は、誰にも負けない持久力で誰よりも走り続けられる力
  5. 試合IQが高い人は、誰もできない分析力で相手チームの欠点を見つけ出す力

何か一つだけでも自分が得意とするスキルに磨きをかけて、誰よりも突出する力を養うことは、短所を克服するよりもよほど高い成果を上げられます。

あなたの得意なこと、長所は何ですか?是非SWOT分析をしてみて下さい。きっとあなたの強みが見つかるはずです!