メンタルをフロー状態にする方法

メンタルトレーニング

フロー状態に入るための条件

アスリートの皆さんは、こんな経験ありませんか。

  • 本来なら試合中にスタミナが切れて苦しくなる時間帯なのに、苦しいどころかむしろ気持ちよくなった
  • あっという間に試合が終わった

このような状態の時は実力が発揮されて、とても良いパフォーマンスができます。この心理状態を「フロー」と言います。フローの状態に入ると、余計な心配事や恐怖心が和らぎ、実力が発揮できる可能性が高くなります。
ただ、多くのアスリートはフロー状態に入るのは偶然で、意図的にフロー状態に自分を持っていくスキルはありません。

では、フローに入るにはどうすれば良いでしょうか。フローに入るためには、いくつかの条件があります。

    1 目標とスキルのバランスが取れていること
    2 行動目標と結果目標の二つが備わっていること
    3 試合前までの心理的準備ができていること
    4 ポジティブ型か防衛化型か自分のタイプを知ること
    5 緊張をコントロールできるようになっていること
    6 集中力があること
    7 セルフトークができること

上記のフローに入るための条件について、詳しくみていきましょう。

1 目標とスキルのバランス

スキルが伴っていないのに目標が高すぎると、不安感や挫折感を生んでしまいます。そういう精神状態ではフローに入ることはできません。目標を設定する場合は、不安や挫折で「やる気」を失わないような目標に設定することが大事です。

優勝が到底できないレベルなのに優勝を目標に掲げても、負けが続くと目標を諦めて自分のことをダメなアスリートだと思ってしまいます。目標設定は、実現するかしないかのギリギリのラインに設定すると、モチベーションをキープしやすくなります。また単なる結果目標だけでなく、行動目標に落とし込むことで具体的目標に向かって日々努力しやすくなります。

2 結果目標と行動目標

目標は「行動目標」と「結果目標」に分けましょう。「優勝する」「3位以内に入る」などの結果目標は、「もし目標を達成しなかったらどうしよう」と不安になりやすいデメリットがあります。また結果目標は、相手チームも同じように勝ちたいという気持ちが強いので達成できるかは相手次第というところにも大きく依存します。結果目標だけこだわっている状態で「試合に勝てない」と思った瞬間、モチベーションは一気に下がっていきます。その結果、フローの状態とは正反対の方向に気持ちが向かいます。

このように結果目標だけでは中々モチベーションが維持するのは難しくなります。一方、行動目標があるとモチベーションが持続し、フローに這いやすい状態になります。行動目標は、「手を大きく開いてキャッチする」「プレー中にミスをしてもゴメンと言わないで、ポジティブな言葉を言う」「笑ってポジティブな言葉を言って次のプレーに入る」など、具体的な行動を掲げます。

行動目標は、もし行動にズレが生じたらその行動を軌道修正できるという利点もあります。試合中は「勝つ」という結果目標ばかり考えてしまうと、どうしても勝たなければいけないというプレッシャーに負けて実力を発揮できなくなります。そんな時は、試合中に行動目標を声に出して言うのが良いでしょう。これは「セルフトーク」と呼ばれています。声に出さずに考えるだけでは行動につながりませんが、声に出すと考え方と行動が自然と変わっていきます。
セルフトークは前回のブログを参照ください。👇

【メンタルトレーニングの基本】セルフトークの効果


「もっと顔を上げて相手をよく見ろ」「もっと深くポジションをとろう」「ボールをもっとよく見ろ」といったセルフトークによって自分ですぐに行動できることを実践すると、緊張や不安な気持ちが遠のいて目の前にある「自分がやるべきこと」に集中できます。行動目標を実践することで、自分のスキルと目標のバランスが取れフローの状態になりやすく、実力も発揮できるようになります。結果目標と違って自分でコントロールできるのが行動目標です。

3 試合前の心理的準備

試合で勝つ可能性を高めるためには、心理的な準備がとても大切です。心の準備が試合前に調っていれば、試合前に余計な心配事を抱えることは無くなり、試合に集中できるフロー状態に入りやすくなります。試合1週間前には試合の時間帯から逆算した生活リズムに変えていくことがが大事です。

特に試合前日のすごし方、当日の朝のすごし方、食事の献立、会場到着までのすごし方、ウォーミングアップの内容とその開始時間などは、常に同じルーティーンにしておくと良いでしょう。多くのアスリートは試合会場に入ってから試合モードに切り替えようとしますが、それでは気持ちがソワソワして、心の準備が終わる前に試合が始まってしまいます。なので1週間前から徐々に試合モードにしてくと、試合当日は試合だけに集中できフロー状態に入りやすくなります。

4 ポジティブ型と防衛型

アスリートは、試合に勝つことだけを信じて準備に入るポジティブ型タイプと、負けや怪我を想定して対策を練る防衛型タイプの2通りに分けられます。多くのアスリートは、防衛型タイプではないでしょうか。

防衛型タイプのアスリートは、普段どおりにできないのが普通の状態であると思うことで、緊張や不安を受け入れます。ネガティブな状態をそのまま受け入れると言う意味では、捉え方次第ではポジティブ思考への転換が可能です。

どちらが良くてどちらが悪いと言うことはありません。勝つことだけを考える方が不安が少なくなるのか、負けを想定していた方が不安が少ないかの違いです。どちらも不安を排除してフロー状態になろうとする思考です。仮に防衛型であっても、今の自分の心の状態をそのまま受け入れることができれば、冷静にプレーすることができ、結果的に良いパフォーマンスにつながります。防衛型でも捉え方次第ではよい結果を出すことができますので、防衛型思考の人が無理にポジティブ思考になる必要はありません。客観的に自分をしっかりと見つめて冷静にプレーできるのが防衛型の利点です。

5 緊張のコントロール

試合前や試合中は、プロのアスリートであっても緊張したり不安になったりします。人間であれば緊張するのは当たり前なのですから、無理に緊張をゼロにする必要はありません。むしろ適度な緊張は、フロー状態に入るには大切な要件です。リラックスし過ぎてしまうと、プレーが乱雑になります。緊張しても無理に緊張しないように自分に無理やり言い聞かせることはせず、緊張してもそのまま放置しておくと良いでしょう。緊張は放っておくといつの間にか消えるようになっています。緊張が消えた時こそ、フロー状態に入った時でもあります。緊張してきたと実感したら、それはフローに入る手前のステージであること、そして試合モードに入ってきたというふうに考えるようにしましょう。

6 集中力を高める

緊張し過ぎてどうしてもプレーに集中できないアスリートは、意図的に笑顔を作ることをお勧めします。オールブラックスのマッケンジー選手は、ゴールキックの時に必ず口角をあげて意図的に笑顔を作ってからキックするルーティンがあります。これは緊張から意識を逸らしキックに集中する為のルーティンです。

集中力を高めるもう一つの方法は、自分なりのフォーカルポイントを決めておくということです。フォ—カルボイントとは、事前に集中できるあるものを一つ決めておいて、それを見ることで集中できるようになるなるポイントのことです。例えば、ゴールポスト、コーナフラッグなど何でも構いません。フォ—カルボイントは顔が下を向くようなものではなく、顔が自然と上を向くようなもので視野が広がるものを選びましょう。フォーカルポイントを見た後に、「ボールをもっと見ろ」「腕をもっと振って走ろう」「パスするときはパス出す選手の名前を叫ぼう」などのセルフトークをすると効果的です。

7 セルフトーク

セルフトークは、フロー状態に入るためには欠かせない要素です。セルフトークについては、別途解説していますので、コチラを参考にしてください。
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【メンタルトレーニングの基本】セルフトークの効果