【メンタルトレーニングの基本】試合映像の見方

メンタルトレーニング

試合映像を観る意味はあるのか?

試合映像を撮って試合後のミーティングに利用するチームが増えています。しかし試合映像を見ると、チームは強くなるのでしょうか。それは試合映像をどのように見るか次第です。なんとなく試合映像だけを見て、何も学ばないような見方であれば時間の無駄になってしまいます。

レベルの高いチームの映像を見て、「体のサイズ、パワー、スピード、テクニックは自分よりも上なので、そんなプレーできない」「相手プレーの戦略や意図が理解できない」と思う人は、試合映像を見ても学びは少ないでしょう。なぜなら試合映像を勝ち負けの視点、つまり「やっぱり元々勝てる相手ではなかった」と決めつけた視点で見てしまうため、所詮、他人事として試合映像を解釈するだけで終わってしまうからです。そこには主体的に学ぶという行為はありません。

試合映像を能動的に観る

では、試合映像をどのように見て、何を学べばよいのでしょうか。まずは、自分のプレー映像に集中して、そのプレーにはどんな意図があったのかといったことを振り返りましょう。自分の良かったプレーを映像から言語化できれば、次の試合でも再現できる確率は大きく上がります。自分のプレー映像は、少なくても5回〜7回は繰り返し観て、良いプレーの残像を脳に植え付けることが大切です。

そして言語化した良かったプレーをチーム全体で共有できるファイルに各自が書き込み、試合前にもう一度そのファイルを見て、良かったプレーの残像を思い出しながらイメージトレーニングすると、プレーの再現性が高くなります。これが何試合も積み重なっていくと、チームの成功にはかけがえのないデータベースになっていくはずです。

チーム全体の視点で試合映像を観る

自分自身のプレーを何度も見返した後は、チーム全体の視点で試合映像を見てみましょう。チーム全体の視点で観る時は、以下のポイントを意識することをお勧めします。

試合中に最も得点されやすい時間帯は?
まず最初に得点されやすい時間帯は、キックオフからの10分前後の時間帯です。なぜなら、試合が開始されてすぐの時間帯はチーム全体が緊張しているからです。動きが噛み合わない、息が合わないなど、試合のリズムや相性を確認するまでに必要な時間帯が試合開始から10分前後の時間帯です。

だからこそ、試合前のアップはとても大事です。単に準備運動や体を慣らすためだけのアップ意識しかないチームは、きっと試合直後に得点されるケースが多いはずです。試合前のアップとは、試合に勝つためのもの、つまり最初の10分の時間帯でのプレーは、アップですでに終えてしまうことができるチームが最初に得点することができるのです。

次に得点されやすい時間帯は、後半の20分前後です。その理由は、身体が試合のペースに慣れてきた40分後の10分程度のハーフタイムによって身体と意識がリセットされてしまうからです。それに加え、後半20分後からは体力や実力の差が明確に表れ始めます。同じリーグ同士であれば、前半は大体いい勝負で逆転可能な範囲で終えることが多いですが、後半20分後からは体力と実力の差が徐々に現れ、得点差がどんどん離れていく時間帯です。

特にコンタクトのあるチームスポーツの場合は「人数合わせゲーム」なので、前半に体力がある時間帯では、それほど優位な立場で試合を進めることは難しいと言われています。逆にコンタクトや体格の差が圧倒的に優っていたら、試合前半から大差が開いてしまい、ジャイアントキリングはほとんど起きません。そう考えると、もし体格的に明らかに負けているチームは、後半20分からどれだけ走れるか、疲れた中でのミスプレーをいかに少なくするかが大事になります。

得点する・得点される順番は?
得点されやすい時間帯の中で、得点する・得点される順番はどうかという視点も大事です。その中で得点前後にどのような因果関係があるかをしっかりとチーム内で共有しましょう。そうするとボール維持率が高いチームが得点するのではなく、どれだけ相手エリアでプレーしているかが得点に大きく絡んでくることがわかるはずです。得点する・得点される順序を意識して試合映像を見ていると、相手のエリアでのプレーする時間が長くなればなるほど、得点しやすくなるのがよくわかります。

ラグビー、サッカー、アメフトなどは得点順序が交互になるスポーツです。なぜなら得点された後は、キックオフによって相手エリアからのスタートになるからです。得点した後は得点される、得点された後は得点する、それが当たり前と考えておくと、試合中のメンタルも安定してプレーに集中できます。

相手チームのメンタルを崩す方法

以上のことから、相手にメンタル的なダメージを与えるには、連続得点することが効果的であることがよくわかります。そして勝利の確率も一気に高くなります。

例えば、連続して2トライ(得点)すると、相手は3トライ(得点)が必要になります。3トライ(得点)連続するのは至難の業です。試合中の集中力が切れて諦めるメンタルになる時は、逆転するのが極めて困難になったと気がづく時です。

以上から、得点されても次は得点しやすい有利な体制で戦えることも分かりますし、得点した後に得点されても感情的になることも減り、冷静にプレーできるようになるはずです。