アスリートは病気になりやすい?!

メンタルトレーニング

アスリートの身体は弱い?

身体能力が高く過酷なトレーニングで身体を常に鍛えているアスリートは、健康的で身体が強く病気にかかりにくいイメージがあります。アスリート自身も自分はスポーツをしていない人より健康で丈夫と思っている人も多くいます。しかし、実はアスリートは病気にかかりやすいという説もあります。

東京大学名誉教授でオリンピックでチームドクターをしていた武藤芳照医師によると、激しい運動で身体を酷使するアスリートは一般の人よりも免疫機能が低下するリスクが高く、むしろ風邪などの感染症には弱いそうです。

行動体力と防衛体力

なぜアスリートは免疫能力が低下しやすいのでしょうか。武藤芳照医師によると、その理由は「行動体力」と「防衛体力」の二つの体力に関係があるそうです。

アスリートは、トレーニングしていないオフシーズンや休息期間中は、一般の人よりも免疫力が高く維持されます。しかし強化合宿やシーズン中は、身体を動かす「行動体力」は高くなる一方、病気やストレスに対応する「防衛体力」は下がります。

運動は負荷をかけることでストレスが生じます、体にストレスがかかると免疫系は元に戻すためにコルチゾール(ストレスホルモン)を分泌します。このコルチゾールには免疫を抑える作用があるため、アスリートは、強化合宿やシーズン中では、一般の人よりも病気に対して弱くなります。

合宿や遠征先では免疫が下がりやすい?

アスリートはトレーニングに加えて長距離長時間の移動も負荷になります。また免疫が下がったところに、気温や湿度、寝る場所、食事といった環境変化も病気に感染する可能性を高くします。シーズン中に試合会場が転々と変わったり、宿泊を伴う試合でよく体調不良になるのは、体が弱いからではなく免疫力の低下が一つの原因と考えられます。

アスリートのなかには、体力に自信があり、ケガの痛みへの忍耐力が強いと自負している人も多くいます。そのため体調不良を感じても軽視して、重症化するまで無理にトレーニングしたり試合に出場します。その結果、何かの病気に感染していても普通に練習や試合で他のアスリートに感染させてしまうことも多くあります。新型コロナウィルス感染症が新たなステージに入り爆発的な感染者数となる可能性が起こり得る今、アスリートはしっかりと「行動体力」だけでなく「防衛体力」についても自己管理し、強化合宿や試合シーズンに臨むことが求められます。

コルチゾールを下げる

では、どのようにすれば防衛体力を回復させるためにコルチゾールを下げることができるでしょうか。

約1週間程度の合宿や試合遠征ですぐに防衛体力を回復させるには、食事と睡眠ぐらいしか方法はありません。
食事は、大豆製品(豆腐、味噌)、緑黄色野菜、ジャガイモやサツマイモそしてナッツなどが良いとされています。コルチゾールを下げる食べ物を意識して食べましょう。

睡眠は激しい合宿練習で疲れるので問題はないでしょう。
食事も合宿中では偏る可能性がありますので、そのような時はサプリメントが便利です。サプリメントの使用前は、必ず主治医や専門家に相談してください。

例えば、以下の様な成分が入ったサプリメントは、コルチゾールを下げるために飲まれています。

    オメガ3不飽和脂肪酸
    抗炎症作用で知られるオメガ3不飽和脂肪酸は、メンタルストレスの緩和にも有効です。

    マルチビタミン
    副腎を元気にするビタミンB群。このビタミンB群とマグネシウムを一緒に摂取すると、ストレスとコルチゾール共に低下するとの研究報告があります。また、ビタミンCは副腎疲労の回復に必要な栄養素です。このように多種多様なビタミンやミネラルを効率よく摂取できるマルチビタミンとして知られています。

    プロバイオティクス
    健康な腸内環境は、自律神経(交感神経と副交感神経)を整え、心身の活動モードとリラックスモードのバランスが保たれます。

    ※参照先
    『【栄養士監修】ストレス軽減に効果的!? な4つの食べ物』
    https://www.nichireifoods.co.jp/media/1793/

まとめ

環境が変化した場所での激しい合宿や遠征先では、防衛体力を維持するためにコルチゾールのコントロールが大事です。合宿や遠征先に小分けになったナッツやオメガ3のオイルなどを持参するのも良いと思います。

自分自身の身体は自分が一番よく把握できますし、他人任せでは防衛体力は下がってしまう可能性があります。自分の身体の管理は自分でしっかりと行いましょう。