【メンタルトレーニングの基本】思考を変える方法
思考を変える方法
前回のブログでは、メンタルトレーニングによって改善するのは「思考」と「行動」であると解説しました。ただいきなり「思考」を変えると言っても、なかなか簡単に変えることはできません。思考を変えるために、まずはネガティブ思考を減らしていくことから始めましょう。ネガティブ思考は、ミスプレーを誘発させます。これは「認知の歪み」とも言われています。
5つの認知の歪み
認知の歪みには5つのネガティブ思考があります。
1 ゼロ100思考
両極端の考え方で「AかBか」といった判断しかできない思考です。「今日の試合は全然ダメだった」「完全に負け試合だ」「ミスプレーばかりしてしまう」と考えてしまう人は、結論を1つだけと決めつけず、良い点と改善点を分けて考えてみましょう。「出来た事」「良かった事」に思考が向くと、ネガティブ思考や自己否定の呪縛から解放されます。
2 一般化思考
1つでもうまくいかないことがあると、「いつもこうなる」「成功したためしがない」「いつも最後に点を取られて負ける」と考えてしまう人は、「いつもではない」「いい時だってある」と自分に言い聞かせ、うまくいった時のことを思い出すようにしましょう。
3 先読み思考
試合中に不利になると「もう絶対に勝てない」と将来起こることを先読み(セルフジャッジ)して決めつけてしまう人は、「本当に勝てないのか」「試合で負けても何か勝つところはないのか」「もしまだ時間が十分にあれば勝てる可能性はあるか」と考えて、試合での体験を無駄にせず、学ぶ機会、次に活かす機会にするようにしましょう。
4 感情思考
「きっとうまくプレーできない」「ミスをしたらどうしよう」と不安な感情を持つ人は、マイナス感情を試合中も引きずって良いパフォーマンスができません。それは緊張しているせいではなく、マイナス感情が過度な意識を筋肉や心臓などの体内へと向かわせ、プレーに集中ができなくなるからです。
緊張したら大きく腹式呼吸をしましょう。後は何もしないでゆっくりした呼吸だけに集中します。「緊張してはいけない」「焦ってはいけない」と言い聞かせ過ぎると、逆に緊張や焦る気持ちが増長します。これは「逆説的思考侵入効果」と呼ばれています。逆説的思考侵入を防ぐには、「緊張しているということは、試合モードに入ったということだ」と戦うモードにシフトしている自分であることを確認するような言葉を実際に口に出して言います。
トップアスリートは試合中、ぼそぼそと何か独り言を言っているシーンを見たことがある人も多いとおもいます。それは逆的思考の心への侵入を阻止しようとしている行為です。もしネガティブな言葉が心に思い浮かんでも、無理にネガティブ感情を消そうと「逆説的思考侵入効果」が働きますので要注意です。ネガティブ思考になったときは、「マイナスなことを考えている自分がいるなあ」と実際に言葉にして自分を客観視するだけでネガティブな考えが止まります。
5 べき論思考
「~しなければならない」「~すべき」「~すべきではない」という考えは思考を停止させます。「次は絶対に止める」「次は絶対得点する」といった考えも、先に説明した感情思考と同じで「逆説的思考侵入効果」が働いてしまいます。むしろ、「このゲーム展開だと、俺が得点するようになってるんだろうな」ぐらいの緩い感じで考えるとよいでしょう。
認知の歪みを正そう
多くの人は上記5つの認知の歪みのどれかを持っています。認知の歪みが大きすぎると、確実に試合中のバフォーマンスが低下します。まず認知の歪みを正すには、日常生活や毎日の練習から習慣化していきましょう。習慣化するまでに2週間かかります。さらに3カ月続けると無意識のうちにできるようになり、自分の行動の一部になります。だからこそ習慣化するには、毎日のメンタルトレーニングが大事なのです。