心が楽になる禅の教え

マインドフルネス

1お釈迦様が悟った四苦八苦

お釈迦様が、長年の修行によって辿り着いた悟りの境地は、この世の中が「一切皆苦」であるということでした。

一切皆苦とは、簡単に言うと四苦八苦の人生を意味します。
四苦八苦とは元々は仏教から来ている言葉です。

四苦とは、「生老病死」の4つの苦しみです。
人間は誰でも平等に、生まれて、老いて、病んで、死ぬ、という苦しいプロセスを下って行くという意味です。

そのほかに、これらを加えた苦しみが四苦八苦です。
「怨憎会苦」(怒りや憎しみを拒絶しても抱えてしまう苦しみ)
「五蘊盛苦」(肉体がある故の苦しみ)
「求不得苦」(欲しいものが尽きない苦しみ)
「愛別離苦」(別れたくなくても、必ず別れる時が来る苦しみ)

これが、お釈迦様が悟った内容の一つです。

しかし、これだけでは私たちの心は絶望のままです。
そこで、お釈迦様は、苦しみを解決するために、心が楽になる智慧を自ら試して実証しました。

お釈迦様が体験した「心が楽になる方法」を実践するのが、禅の教えです。
「心が楽になる」ということは、今ふうに言えば、「マインドフルネスになる」ということです。

2 禅は誰にでもできる

確かに私たちは、毎日「四苦八苦」して生きています。
身体を蝕む病、人間関係、別れ、金銭トラブル、毎日苦しみと隣り合わせに生きています。
そんな苦しむ心を楽にしてくれる、マインドフルネスになる方法が、禅にはたくさんあります。

禅というと、足が痛い坐禅や難しい経典の理解、難問な禅問答といったイメージがあって、仕切りが高いように思われるかもしれません。

しかし、禅は決して仕切りが高いものではありません。禅寺に行ったり、坐禅会に参加したり、写経したり、説法を聞いたり、そんなことをしなくても日々の暮らしの中で実践できるものです。

いつでもだれでもどこでも、できるのが禅です。
禅は生活していくための心のスキルのことです。
ですから、禅の教えを実践すると、心が楽(マインドフルネス)になります。

禅は、お釈迦様が体験した悟りを追従体験することです。お釈迦様は、悟りによってに苦しみから解脱できたことを自ら実証しました。

禅は、お釈迦様の悟りのプロセスを追従体験するものです。ですから、禅の教えを実践すると、「誰でもできる」つまり誰でも「心が楽になる」「マインドフルネスになれる」というわけです。

3 心のセルフチェック

心が苦しくなり理由や心が楽(マインドフルネス)になるコツはいくつかあります。

たとえば、自分自分をセルフチェックしてみると、少し心が楽(マインドフルネス)になるキッカケが、つかめるかもしれません。

【マインドフルネス チェックリスト】

    ・心に振り回されていないか
    ・心の在り方をじっくり観察できているか
    ・幸せは案外自分の近いところにあることに気がついているか
    ・今の自分が本当の自分の姿か
    ・思い込み、決めつけで、苦しんでいないか
    ・ほんのちょっとしたことで、人生は好転すると信じているか
    ・迷う心は悪くない。迷うから強く生きられると思えるか
    ・この世に自分がいることは、奇跡的なことと思えるか

このように、マインドフルネスのチェックリストを見て見ると、リストの全てが心の状態のチェックであることに気がつくと思います。
つまり、私たちは心の状態次第で、苦しんだり、救われたりするということです。

もし心が苦しかったら、それは心が悪さをしているからです。そんな時は、「心が私の主ではない。私が心の主だ」とい言い聞かせて、悪さする心を鎮めましょう。

4 心には、仏と鬼の二人の自分が住んでいる

心には、二人の自分が住んでいます。
一人は、仏さまの自分、もう一人は鬼の自分です。
心次第で、あなたは仏さまにも鬼にもなれます。

ですから、心の主であるあなたは、心の中に住んでいる鬼をしっかりと飼い慣らす(コントロールする)必要があります。

怒って怒鳴り声を出したり、物にあたったり、自分の感情が制御できない時は、心が勝手に暴れて鬼になっている状態です。
怒れば怒るほど、あなたは鬼にたくさん大好物の餌を与えて、益々鬼をパワーアップさせてしまいます。

もう少し、仏と鬼の二人の自分が現れる身近な例を挙げましょう。

【毎朝、起床する時間になった時】
仏「朝だ、遅刻するから起きなきゃ」
鬼「もうちょっとだけ寝よう、今日ぐらいは少し遅刻してもいいや」

【Amazonで、自分が欲しいものを見つけた時】
仏「今月は無駄使いし過ぎだから、我慢しよう」
鬼「今、買わないと売り切れになるから、買おうよ。欲しいでしょ」

こうした葛藤は、誰でも日常茶飯事にあります。
ただ、欲望や感情を抑え込もうとしても、それは我慢ですから長続きしません。我慢には限界があります。なので、そうした鬼があなたの心に出現した時は、そのままにして餌を与えなければ、自然に去って行きます。
皆さんも、欲しいものが数週間後に別に欲しくなくなったことがあると思います。鬼が自然に去って行くとは、正にこのような状態です。

5 マインドフルネス-心が楽になる禅の教え

禅とは何か。端的に言えば「己事究明」です。
もっと分かりやすく言えば、「何のために生きているのか」「自分とは一体何か」と、自己をしっかりと見つめて毎日を大切に生きることです。
これは、わざわざ禅寺で坐禅会に参加したり説法を聞かなくても、日常生活のなかで誰でも実践できます。

しかし毎日慌ただしい日々を過ごす私たちは、「何のために生きているか」「自分とは一体何か」を考えることはありません。そういう時に予期もしない出来事や嫌なことが起きると、つい自分を見失って動揺してしまいます。

動揺したときこそ、本当の自分の姿が顕〈あらわ〉となります。どうしていいかわからず取り乱すのか、それとも肚を据えて冷静に問題を把握して対処するか、皆さんはどちらでしょうか。
どうしようもないときにどうするか、これこそが禅で問われることなのです。

最近では、禅に関する本や雑誌が多数並び、カルチャースクールで開催される坐禅会は多くの人々で賑わっています。また、精進料理は現代風にアレンジされてブームになるほど、今や禅には多くの関心が集まっています。

このような社会現象から、禅門の室内で繰り広げられる伝統的な禅のかたちだけでは、社会からの要求に応えることが難しくなっているというのも事実です。

社会側から伝統を守り続けてきた禅宗の門を叩き始めた今、禅宗は否応なしに閉ざされ気味であった禅門の扉を開くよう迫られています。
それは一般の人々の眼に「禅」がとても魅力的で、しかも神秘的な力があるように映っていることを意味します。

さて、マインドフルネスになる方法として、心が楽になる禅の教えをよりわかりやすく、そして詳しくまとめました。
また、禅問答についても入門編として少し紹介しています。一休さんの「そもさん、せっぱ」の世界です。
もし興味があれば、是非一読ください。
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https://note.com/enin/n/n52893bc3a517