ジョブズが愛したマインドフルネス

マインドフルネス

1 メンタルヘルスには禅のマインドフルネス

人生を良くする(ウェルビーイング)ための三要素は、「健康」「メンタルヘルス」「人間関係」です。

私は、禅によるマインドフルネスを得てからは、身心と人間関係はこの上なく順調です。
特に、メンタルヘルスの安定は、とても強く実感しています。
私が言うマインドフルネスとは、坐禅(瞑想)によってもたらされる「心の安らぎ」です。

修行と同じ厳しい坐禅を在家の皆様に求めても、「痛い」「苦しい」「辛い」といった理由で続きません。続かないと心の安らぎを得られません。

禅も大乗仏教の落とし子である以上、やはり苦しんでいるひとたちが救われるための教えと実践でなければなりません。苦しんでいる人を救うことができなければ、禅は何のために存在しているのかわかりません。

特に、心の病を抱えている人が多い世の中で、「禅が何とかしてくれる」という期待にこたえなければなりません。

2 誰でもかかる心の病

厚生労働省による「疾患調査」によると日本人の約420万人が心の病気を抱えています。 これは約30人に1人の計算になります。また、5人に1人が一生のうちに一度は心の病気にかかるとも言われています。
http://」https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/data.html

「自分は大丈夫」と思っていても、心の病にかかる可能性はとても高いのです。精神的に強いと自負している人ほど、ちょっとした事で突然、対人恐怖症になったり会社に行けなくなったりするケースは多々あります。

メンタルヘルスが原因で休職や退職をする人たちは、会社から遠ざかることで随分楽になりますが、実際にはそう簡単に会社を辞めることはできません。なので「会社に行きたくない⇒でも行かなければならない⇒心の病は治らない⇒益々心の病が悪化する」というスパイラルに陥ってしまいます。

心の病の自覚がありそれを受け入れているならまだ危機感があっていいのですが、問題なのは、普通の振りをしてメンタルヘルスが弱っていることを隠したり、ストレスを見て見ぬふりをしたりする人です。
例えば、判断力が低下したり、集中力が途切れやすくなったり、簡単なミスを連発したり、仕事効率が下がったり 、こうした目に見える生産性の低下も、メンタルヘルスが悪くなっているサインです。

3 禅によるマインドフルネスとは

メンタルヘルスを向上させる一つのトレーニングが、禅の修行で実践している坐禅(瞑想)から得るマインドフルネスです。 お釈迦様が誕生してから今日に至るまでの2500年の歴史が、マインドフルネスの効果を実証しています。もし効果がなければ仏教はとっくの昔になくなっているはずです。

最近では坐禅(瞑想)によるマインドフルネスが、人によってはストレスが減少したり、心の疲労が改善したり、メンタルヘルスの向上にとても効果的であるということが、科学的な根拠や脳科学等の研究によって明らかにされています。
きっと、このような具体的に数値化された効果が認められた結果、日本や東洋だけに限らずアメリカやヨーロッパをはじめとした世界各国で禅が受け入れられ広められている理由です。

世界的な大企業、例えば Google、マッキンゼー、ゴールドマンサックスなどでも、マインドフルネスの効果を認めて、実践するところも増えてきています。
こうした企業は、マインドフルネスの研究によって明らかになった、離職率の改善、鬱といった心の病の予防、社員間のコミュニケーションの改善、リーダーシップ能力の向上、生産性の向上、危機管理能力の向上を期待しています。
禅によるフルマインドネスが、形をかえて現代のストレスの多い企業で働く人たちのためになっていることは、とてもいいことだと思います。

では、禅によるマインドフルネスは、どのようにして得られるのでしょうか。
それは、坐禅(瞑想)です。
坐禅(瞑想)は、難しくありませんので、安心して下さい。
やることは至って簡単です。「姿勢を良くする」「ゆっくりと呼吸する」これだけです。

次回は、もう少し詳しく坐禅(瞑想)の方法を紹介します。