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臨済宗の禅僧です。宗門大学の博士後期課程(仏教学)修了。
檀家制度(お布施)に頼ることなく、"衣を脱いだ禅僧"として生きています。「しんどい、つらい、苦しい」といった心が、少しでも楽になるような仏教の知恵を発信しています。
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禅の研究
禅宗の経典 4
1 般若の知恵で仏性を自覚する 禅の経典観1~3までの考察から、『金剛経』にみる禅宗の経典観とは、経典そのものを単に有り難く事物として理解するのではなく、自分自身が生まれ持った仏性を「文字般若」「実相般若」「観照般若」の三つの般若の智慧で... -
禅の研究
禅宗の経典 3
1 「金剛経軽賤」から読み取る禅宗の経典観 禅宗の経典観1および2で考察した『金剛経』と禅宗の関係そして『金剛経』の教えとその特徴をふまえて、具体的に『碧巌録』「金剛経軽賤」のなかで使われている「此の経」という言葉の意味を明確にしながら、... -
禅の研究
禅宗の経典 2
1 禅宗による『金剛経』の理解 『金剛経』で述べられている、「此の経故(もと)より能く無量劫来(むりょうごうらい)の罪業を消して、重を転じて軽と成し、軽を転じて受けざらしめ、復た仏果(ぶっか)菩提を得せしむ」(『碧巌録』(下)入矢義高・溝口... -
禅の研究
禅宗の経典 1
1 禅宗には経典がない 禅宗は所依の経典を持たない。 仏陀一代経を五時八教と時代区分したなかから、例えば天台宗は、天台大師智顗(五三八~五九七)は『法華経』を仏陀の教えの中で最も円熟した経典であるとし、浄土宗は曇鸞大師(四七六~五四二)に... -
禅問答
禅問答(公案)入門 「一得一失」
1禅問答とは何か? 禅は頭で理解しようとすればするほど、逃げていきます。ヌルヌルのウナギを素手で捕まえようとしても、すぐに、ぬるっと滑って逃げてしまうようなものです。 禅は頭でロジカルに理解しようとすると、益々わからなくなってしまう特徴が...